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商売の秘訣 倫理研究所 首都圏副方面長 荒木良仁
 西 鶴
 先義後利(良いことを先にすれば、利益は後からついてくる)を商売の基本原則としてきたわが国は、「商道」という伝統を作り上げてきました。それは民族の総合体験の成果であり、伝統文化の誇りでもありました。
 日本で始めてビジネス小説を著したのは、井原西鶴です。元禄時代の初め、貞享5年(1688年)に刊行されたその書は、各巻五章、六巻三〇章の短編からなる小説です。金銭にまつわる人間模様から、いかにして金持ちになったかを実話に基づいて描いたもので、町人の生活の心得がまとめられています。西鶴は、金持ちになるには五つの実践を心がけることと述べます。

(1)「朝起き」、朝早く起きて働くこと、早く店を開けること。
(2)「家職」、本業から外れず、本業に精を出すこと。財テクや本業以外のことで儲けようとしないこと。
(3)「夜詰め」、夜遅くまで働くこと。
(4)「始末」、倹約のこと。無駄をなくし金や物を生かして使うこと。後始末を良くすること。
(5)「達者」、自分だけでなく、家族、社員の健康管理のこと。

 これら五つの実践項目を基本に、さらに経営には「算用」と「才覚」が重要と述べています。「算用」とは、適正な経理のことで、収入を測り、支出を制する、経営の原点のこと。「才覚」は、知恵と工夫のことで、人まねではないオリジナルのものをつくりだす能力のことで、流行をつくりだすぐらいの能力まで高めることがもとめられます。その才覚の一つに「物には時節」という「タイミング」を捉えることも重視しています。(『大商人の金言』三笠書房 八幡和郎著参照)
 西鶴のいう才覚は、「気づき」を捉える能力ともいえます。「気づくとすぐする、それは成功の秘訣」と倫理運動の創始者は述べています。我々は、モーニングセミナーで朝早く起きる習慣を身につけ、「気づき」を磨いています。「気づくとすぐする」それは古くて新しい真実ではないでしょうか。
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