ガキ大将的存在の小・中学生時代
4人兄弟の末っ子長男ですから、かなり可愛がって育てられたんです。小学校4年生までは、「体は大きいけど、少し気の弱い優しい子」という感じでした。
ところが、小学校4年の時に、ボス的な存在の6年生に目をつけられて、皆の前で1対1の喧嘩をしなければならなくなったんです。喧嘩なんかしたことないですから、すごく怖かった。でも、皆が見ている前で逃げるのも嫌だった。
そこで腹を括って、ダーツと自分でもわからないまま、とにかく突進していったんです。そしたら逆に、彼の方が逃げてしまって、その日からヒーローになってしまったんですよ。「俺って、強いんだ」と目覚めてしまいまして。
中学に入ると、「こんな子に育てた覚えはない」って、よく母親こ怒られていましたね(笑)。いじめはしなかったですが、手がつけられないガキ大将になっていました。
アメフトで全国優勝 銀行では常務取締役
大学までずっと、体育会系の部活でした。中学・高校は陸上競技で、国体にも出場した有名選手でした。
ただ陸上部は、アメリカンフットボールのクォーターバックのポジションに憧れて、立教大学でアメリカンフットボールをやりたいという一念で、その基礎体力作りのために入った部活でした。
高校を卒業して、立教大学に入学できて、無事アメリカンフットボールを始めることができました。このチームは、全国優勝するほどの強豪でした。
いわば、華々しい部活生活だったんです。するともう、傍若無人というか、有頂天でしたよね。その気持らのまま銀行に入社して、自慢の体力と、人に負けたくない一心で、常務取締役にまでなりました。「自分一人で生まれて、自分一人で努力して頑張ってきた」、50歳過ぎまで、その気持らが強かったんです。
人間関係の挫折 人の支え忘れていた
ところがですね、30、40、50代と年をとり出世すればするほど、色々な挫折をしましてね。人間関係でもぶつかる、部下とも信頼関係を築けない。「こんなに一生懸命やっているのになぜだ」という気持らがありました。
でも、よく考えてみると、自分一人でやれることは、これっぽっちしかないんです。何千人の行員がいて、何万何十万というお客様がいて、そのお取引によって収益が出て、支えられている。部長だ役員だと言っても、支店長を含めた大勢の方々が働いて稼いで下さるおかげで、いられるわけです。そんな当たり前のことが、当時はわからなかったんですね。「俺が俺が」とやって、色々な挫折をして、その度に「なぜだろうな」って思っていました。いわば、全く身の程知らずの人間でした。
そこで、ある人に2つの言葉を用いて戒められたんです。この方の教えのおかげで、自分は変わることができました。
「忘己利他(もうこりた)」と「敬神崇祖(けいしんすうそ)」この2つの言葉が、自分が今生きている証です。
私は、こう戒められました。「忘己利他と敬神崇祖、この2つの根を持たない人は、どんなに地位やお金があっても、人間としては最低で、そんな生き方は愚の骨頂だ。人間として成長できない」と懇懇と説かれたのです。
「忘己利他」は、自己の利益を忘れ、他人に利益を与えること。つまり、人に喜ばれることをするということです。重要なのは、人に喜ばれることをしようという心掛けが、自分の人格を成長させる唯一の手段だから、人に喜ばれることをするのは、自分のためなのだと。
浅ましい人は、地位や金など、あの世に持って行けないものを集めることに執念を燃やします。でも人は皆、裸で死ぬわけで、あの世に持って行けるものは人格だけだというんです。自己の人格の向上が人生の最大の目標であり、その努力を常にすることが、あの世で極楽浄土に行ける唯一の道なのだと。
具体的な実践方法も教わりました。まずは自分の家族、そして会社、地域、千葉県へ。その頃の私は、家事は一切やったことがなかったんです。せいぜい蛇口をひねって止めるのが関の山でした。
そこで、自宅にいる両親こ「朝ごはんは俺が作ってあげるよ」と言いました。やれば作れるようになるものですね。ここ6年くらいは、旅行・出張の時以外は必ず私が作っています。朝ごはんを作ると、ゴミも出さなくちゃと気付くわけです。私が家事をやることで、両親も妻も助かる。夕ごはんの片づけをしたり、お風呂は磨いてからお湯を入れたり。最初は皆びっくりしてましたけどね。やってみると、「あれもこれも」と色々凝りだしてきまして(笑)。
出社したら、神棚に水をあげます。そして、家族と同じように何か1つ、事業を通じてお客様やスポンサー様に良いことをしようと考えます。「前はギラギラして怖かったけど、顔つきが変わった。人の話を聞くようになった」と言ってもらえるようになりました。
ベイエフエムに来てからは、怒ったことがないんですよ。怒るよりも、その人の話をよく聞いて、解決を一緒にした方がいいなと。確かに考え方が変わったと思います。家庭の中、会社、地域、千葉県に、役に立つことをしたい。全然できていないかもしれないですよ。でも、かっての自分とは、相当違います。
「敬神崇祖」祖先や神を敬う心
もう1つの言葉「敬神崇祖」ですが、自分があるのは、両親があって祖先があるからですよね。だから、両親や祖先を敬う気持らがなければ、人として失格だと。その通りだと思いますね。また、神様はどこかにいると思って敬う気持ち。
以前の私は、墓参りに行ったこともありませんでした。今は、1日と15日と自分の誕生日には、氏神様と家のお墓参りをし、家の神棚と仏壇には毎日、手を合わせています。やったことがないとわからないと思いますが、「一番大事なところで救われているな」とすごく感じます。運が悪い時もある、でも最悪の結果にはならないという安心感があります。
会社では、自分の机に座ると、神棚がちょうど真正面にあります。王道に沿った選択肢は大体、自分にとって厳しい決断です。でも、「自分に利があるような判断をしらやいかん」と、神様に戒めてもらっているわけですよ。
50歳を過ぎて教わったこの2つの言葉が、自分が今生きている証です。きちんとできているという意味ではなくて、いつもそう在りたい、以前の私とは違うという気持らです。生涯、この2つの言葉を追い求めたいと思います。
夢は、最強のコンテンツメーカー
夢は2つあります。1つは、僕はこの会社を、最大の会社より最強のコンテンツメーカーにしたいんです。電波やスタジオといったハードは誰でも持てる。それよりも、良い放送を作れる会社でありたい。ラジオを聴いて頂いた人が、クスツと笑ってくれたり、感動したり、勇気づけられたり、そういうツールであればベストだと思っています。
最強のコンテンツメーカーになるためには、人材です。だから、社員を徹底的に大事にする。厳しい状況でも人件費は一切下げない。少しずつでも、毎年確実にアップさせていく。それができなくなった時は、僕は社長を辞める時だと思っています。その代り、コスト削減や厳しい目標には協力してもらいますけどね。
もう一つの夢は、オリエンタルランド社と共に、千葉の文化を代表する企業になりたい。オリエンタルランド社は、千葉でも数少ない情報発信機能を持つ会社で、年間3〜4千万人を感動させています。ベイエフ工ムも、規模は全然違いますけど、そうありたいと願っています。
会社の理念としては、「ラブ アワーベイ」です。来年の10月1日で、開局20周年になりますので、もう一度足元を見つめ直して、千葉県の環境保護に、放送を通じてどう貢献できるかということを、自問自答しながら、色々な企画や事業をするようにしています。
心に馥郁(ふくいく)たる香りを持て!
今は規律が乱れ、目を覆いたくなるような事件・事故ばかりで、良いニュースは隠してるのかというくらい無いですよね。日本人としての心を大人が失った。それが、若者にも表れていると思うのです。事件・事故を起こした人を、悪いと書うのは簡単です。
でも、その原因は、我々の世代なんですね。団塊世代を含め、我々は企業戦士として、日本が物質的にどんどん豊かになる世代を担ってきて、そのプライドもある。でも、子供の教育、家庭の和やかさを捨てて来てしまったわけですよ。
だが、諦めるのはまだ早い。我々の世代が、もう一度失ってしまったものを取り戻します。子が既に成人していても、孫の教育で頑張ればいい。そして会社では、社員教育に注力する。これが、我々にできるご奉公だと思っています。
私はいつも会社で、「心に馥郁たる香りを持て」と言っています。昔は、お金とか地位とか名誉ばかり求めるのではなく、心に余裕があって、馥郁たる香りを持った大人がいっぱいいたんですよ。
この会社は、一人一人が個人事業主のような感じです。良い仕事をしたら給料もボーンと上がります。コンテンツも数字では測れない、感性の世界ですから、最初に話し合って、後は任せて、結果は責任を取る。だからこそ、報告・連絡・相談が大事です。その時に、真心で付き合えば、人間関係はギクシヤクしないんです。会話も、自分の主張ばかりしないで、相手の話をよく聞いて理解して、接点を見つけていく。会社員である前に、一人の人間として、心に馥郁たる香りを持って、仕事をしてほしいと思います。
あとこの会社の特徴は、365日24時間生放送で、また、好きで入社して、好きで働いているから、皆休まないことです。「ラジオで人を喜ばせるのが天職だ」と言って、360日働く社員もいます。その社員は、ストレスを発散するために会社に来るそうです。仕事そのものが喜びなんですね。
50歳を過ぎるまでは、自分は自分はという人間だったけれど、「忘己利他」と「敬神崇祖」、この2つの言葉を教えて頂いて反省して、生き方が大きく変わりました。気付いて良かったですね。
(広報担当 渡部 成夫)
千葉県倫理法人会
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